2005年 9月議会 一般質問

市民元気クラブ 中西智子


◎介護保険制度の改定にともなう箕面市の高齢者福祉等について


 介護保険制度の改定にともなう箕面市の高齢者福祉等について質問いたします。

 改正介護保険法の成立で、主に軽度の要介護者への給付が予防重視に改められ、また施設入所者の食費・居住費が自己負担となりました。後者について国は持続可能な介護保険制度の構築、在宅と施設との不均衡の是正、年金給付との調整を理由にあげています。しかし、憲法25条で「生存権」が保障されており、生死にかかわることについて応益負担という概念は不適切であり、社会保障制度のあり方について今後も議論が必要であると考えています。
 何はともあれ、今回の制度改定で施設や施設の利用者に大きな影響が及ぶわけであり、現場での利用者の混乱や戸惑いと職員の方々のご苦労を考えるとたいへん無念であり、心が痛みます。

 さて自治体では厳しい運用がせまられています。引きつづき国に現場サイドからの要望をしていくことはいうまでもないことですが、今、箕面市としての高齢者福祉に対する姿勢が問われていると思います。
今後の箕面市の高齢者福祉に係わるとりくみについて、これまでにも複数の議員の方から様々な質疑がなされてきましたが、問題の重要性に鑑みあえて質問いたします。
 すでに箕面市保険医療福祉総合審議会において検討されていることは承知していますが、利用者・介護者である家族をはじめとする市民の意見を十分に吸い上げ、現場の実態をしっかり調査され、サービスを整備していただきたいと思います。十分な検討がなされたうえでの実施を望むものであり、以下7点の質問ならびに要望をいたします。

@第3期箕面市高齢者保険福祉計画・介護保険事業計画策定のためのアンケート調査報告書がまとめられました。また、各地域ごとの既存介護サービス基盤の整備状況はどのようになっているでしょうか?「第3期介護保険事業計画における介護給付対象サービスの見込み量の推計手順について(案)」では、こと細かな推計手順が記されていますが、サービス給付の利用者見込みはどのように推計されていますか?現時点での市の把握について、検討中ということではなくまた、箕面市の介護実態と問題点・課題をどのようにとらえているか、お教えください。

A箕面市としては現時点で減免措置は検討していない、とのことですが、「憲法25条」および「箕面福祉のまち総合条例」にもあるように、人はどのような要介護状態になっても、自分らしく尊厳をもって生きることのできる生活を支援されるべきであると考えます。「改正介護保険法」では施設の利用者負担区分がこれまでの3段階から4段階になりました。第2段階の年金80万円以下の負担は若干おさえられることになりますが、第3段階の80万円から266万円以下の負担が増すことになりました。ユニットケア施設入居の場合、要介護5で自己負担額は9万5千円と試算されます。「第3期箕面市高齢者保険福祉計画・介護保険事業計画策定のためのアンケート調査報告書」のなかで、たとえば介護保険料の負担についての問いで施設入所者のうち、「負担に感じる」と答えた人が74.6%に及んでいます。保険料以外に施設利用者の負担は今後かなり増すわけですから、必要な処置としての減免を是非、再検討していただきたいと思います。また介護保険料の段階引き下げについて、現行の5段階から6段階にして、低所得者層の負担軽減のために保険料を僅かでも軽減することなど、再検討くだるよう重ねて要望いたします。

B新予防給付について質問します。利用者の実態に即した日常生活支援がなされるべきであり、そのことによって要介護者の在宅生活が可能となります。「ヘルパーをメイド代わりに利用するのはおかしい」との声もありますが、生活支援が不可欠な場合もあるため、給付量の抑制をすることなく、利用者の実態に沿った自立のための支援サービスの継続を望みます。また、新予防給付はあくまで利用者の選択に基づき自己決定できると考えてよいでしょうか?また、ケアマネージャーの指導について、適切なアドバイスは不可欠ですが、強制につながらないよう自己選択・自己決定が実施されるよう願います。

C質のよい介護サービスを提供するためには、介護に従事する労働者の賃金と待遇の保障、専門職としての地位の確保が望まれます。また、箕面市はスキル向上に向け研修会等を実施するとしていますが、到達レベルをどのように位置づけていますか?現状の問題点を市がどのように把握し改善策を検討しているか、問うものです。

D現在、認知症に対して介護認定にバラつきがあります。また認知症に対する認識・ケアや治療について、行政や介護サービス事業者、家族の共通認識が必要であると考えます。成年後見制度をわかりやすく使いやすくするための相談窓口の設置も含め、検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

E高齢者虐待を防ぐために、認知症対応の高齢者グループホームの実態把握について、また、労働条件および入所者の適切なケア環境を維持するためのチェック機関の設置についてご説明ください。

F今後の課題のひとつに、在宅介護がすすむと介護者家族への支援策が重要になってきます。とりわけ、うつや認知症高齢者の介護者は心理的ストレスが激しく、また現場での対応策などを相談できる機関を必要としています。心のケアなど介護者を支える体制が地域でしっかり構築できるように検討されているのでしょうか。

以上、「新たな介護予防サービスの開発」と位置づけられている地域包括支援センターの設置にかかわる課題も含め、質問いたします。理事者の真摯な回答をお願いいたします


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