2005年 12月議会 討論



◎第99号議案 「箕面市病院事業の設置等に関する条例改正の件」



■討論
                                                  市民元気クラブ 中西とも子

 同条例改正案の中にある「初診料加算金の値上げ(案)」について以下の理由で賛成しかねるため、同条例改正案に反対の立場で討論いたします。

 市は紹介状なしの初診患者に対する加算金値上げの根拠として@病診連携の推進A逆ザヤ現象の是正をはかるため、としています。しかし、民生常任委員会においては、院長は「診療報酬が安すぎるため」と説明し、事務局長は「あくまで病診連携を促進するのが目的で経済的理由ではない」とするなど矛盾する説明をおこないました。このような曖昧な値上げの根拠では納得いきかねます。また、2005年9月現在の箕面市立病院紹介率は36.5%ですが、これは紹介率30%以上という区分にあたり「紹介患者加算4」で150点、総額で1500円、3割負担の患者さんの場合は450円の支払いが上積みされるということになります。この紹介率が上がる病院になればなるほど区分も上がり、最高で紹介率80%になれば紹介患者加算が400点、総額4000円で3割負担の患者の場合、1200円の支払いが上積みされます。
 つまり紹介状を持って別の病院を受診する場合、患者は“かかりつけ医”に支払う紹介状料と、この加算額の3割(高齢者は1割か2割)を負担しなければなりません。また箕面市立病院が目指している「地域医療支援病院」の資格をもつということは、一般的に紹介患者加算を上げていくことになります。
 紹介率が上がれば、加算金も上がるので、また紹介状なしの患者の負担額とひらきが無くなるため、またまた紹介状なしの初診料を値上げする必要に迫られる、という繰り返しにもなります。市立病院を2次医療として確立させるために、病診連携を理解し協力する患者も、そうでない患者も負担率を上げることを前提としなければならない、ということになります。
 病診連携を進め、地域の医療ネットワークを推進することが目的であるならば、地域の保健師さんやケアマネージャー、民生委員さんなどとも連携し、その目的について丁寧に説明し、理解を求めていくことが先ではないでしょうか?
 なお、医療の現場では「総合病院で検査、診察してもらったほうが安心」といった患者心理が強く、初診時から市立病院を訪れる患者は少なくありません。とくに高齢者になると複数箇所を受診する患者が多いため、紹介状なしで訪れる患者の負担増は慎重に検討すべきであると思います。
 さる11月9日に、厚生労働省が諮問機関である中央社会保険医療協議会に医療費抑制をめざして「大病院への患者集中緩和」を提案しました。医師の紹介状なしに200床以上の大病院で受診した場合の初診料を医療保険の対象外とするものです。全額自己負担となれば、患者の自己負担は大幅な増額となり、紹介状を持たない外来患者は現行2500円の大病院の初診料をまるまる負担することになります。この審議の結果次第では、紹介状をもたないサラリーマン患者の初診負担が現行より2800円も増額になってしまいます。吹田市のように未だ初診料加算金の値上げを行っていない自治体病院もあるわけですから、審議会の結果を見届けてから検討するべきであり、この時期の条例提案は時期尚早であると考えます。
 18日、政府は来年度の診療報酬を3,16%引き下げると決定しました。要するに患者の負担と同様に医療サービス提供者側にも痛みを分かち合えばよい、という形で決着をつけたのです。今後、医療のあり方をめぐり、ますます厳しい台所事情のなかで取り組まねばならないという苦しい病院経営の事情がわからないではありませんが、やはり自治体病院としての役割を考えるならば、患者の立場に立った「安心して質の高い医療サービスが提供」できる体制の構築に向けて努力すべきであり、その姿勢を一定示さねばならないと思います。
 以上、簡単ではありますが、今後の箕面市立病院の医療のあり方を左右する課題であるため、あえて問題提起をこめて反対の立場で討論いたしました。

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