2007年2月議会 一般質問

■一般質問

市民元気クラブ 中西とも子

◎行政と市民が信頼を構築するための、情報提供・市民の声や力の活かし方について

「市民協働で厳しい財政状況を乗り切り、真のまちづくりを進めるために 」−行政と市民が信頼を構築するための、情報提供・市民の声や力の活かし方について−質問いたします。

箕面市の財政見通しについて、集中改革プランの長期財政試算によると、今後も厳しい財政状況が続くと見込まれています。このままいくと2010年度には経常収支比率は113.3%に及び、基金は底をつくとの予測です。この財政状況を打開するためには、税金の無駄遣いを徹底して排除し、行政サービスの質を落とすのではなく、あらゆる社会資源を活用し、市民と行政が協働で乗り越えていかねばなりません。

第四次箕面市総合計画・「第3期実施計画」書に添付された箕面市の将来人口は2010年には13万6千人と推計されていますが、構成比率では高齢化率が進み、逆に15歳〜64歳の生産年齢人口比率は減少を続けることになっています。

また同じく、家族類型別世帯数の推移については、核家族化がいっそう進み、ひとり暮らしが17,268世帯、夫婦のみが11,114世帯、ひとり親世帯は4,233世帯とそれぞれ増加しており、逆に祖父母などの親族と暮らす世帯は減少して2,983世帯となる見込みになっています。

つまり今後、地域や行政の支援を必要とする市民が増加傾向にあるということを示しているわけで、これは大変重要な課題です。いよいよ市民ひとりひとりが互いに協力し合い、また行政と一丸となってまちづくりを進めなければ、市民の暮らしは経済的にも社会的にも持続が不可能となってしまいます。

その意味で今後、市民協働を成就させるための前提として、行政は市民に対し信頼関係を構築するための努力が必要であり、市民の意思に基く民主的な自治体運営のあり方、市民・行政が対等に協力し、新しい公共のありかたを築きあげるための基本やルールを明確にすることが大切です。これは市民にとっても政治に関心をもち、社会参加・社会貢献の機会を得ることとなり自身の存在意義を確認しながらいきいきと暮らすことに繋がります。「財政」のみの問題ではなく、市民が地域で暮らすための積極的なまちづくりへの参加を促すものとして位置付けること、つまり「ピンチをチャンスへ」と転化することで、暮らしやすいまちづくりを目指したいものです。

そのために行政は情報公開・情報提供・本気で市民と向き合うことが不可欠です。これは行政に関わる者すべてに問われており、議会も同様です。わたしたちも市民に対し知りえた情報提供や説明責任をはたし、市民と丁寧に意見交換し、その声を議会につなぐことに実直でありたいと思います。また「本気の示し方」も問われているのだと考えます。

そこで3項目にわたり質問いたします。

一点目に情報公開・情報提供のありかたと市民意向の把握について質問します。

元宮城県知事の浅野史郎さんは「良いものを公開するのは『広報』、悪いものも公開するのが『公開』である」と述べておられます。なるほど言いえて妙であると頷いてしまいます。

箕面市集中改革プランでは「改革の処方箋」のなかに「外郭団体等の改革」をあげています。現在、外郭団体の情報公開にはバラつきがあり、とりわけ箕面都市開発Mの情報公開が遅れています。先日も市民が、文化事業団と都市開発株式Mに対し、同時に同趣旨の開示請求を行ったところ、当初、箕面都市開発Mからは開示されなかったということがありました。箕面駅前第一駐車場の下請け会社に関する情報も法人だからということで開示してもらえません。

2005年に実施された総務省経営アドバイザーからの箕面市の外郭団体に対する助言では「経営状況の助言」のなかで「団体の経営情報が十分でないケースがあり、箕面市の外郭団体の概要が把握しづらい点がある。事業量、財務的数値、他団体との比較数値など、事実を客観的に市民に公開することにより、透明性の確保に留意すべきである」とのアドバイスを得ています。比較的事業報告が克明に行なわれていると思われる(財(箕面市障害者事業団についてでさえ、経営情報の伝え方・PRを市民にもっと分かりやすく説明し、チェックがきくようにすべきである、と促しています。ましてや箕面都市開発Mは箕面市が70%近い出資を行なっている第3セクターであるので、情報公開については出資者としての立場からも強く求めていかねばならないと考えます。つまり、市民が大株主であるわけで、株主の利益・株主の権利という観点からも情報公開を求めていかねばならないだろうということです。この基本的な姿勢についての市の見解を求めます。

そして「情報提供」についてですが、藤沢市政になってから審議会や各種委員会の傍聴時に配布される資料の即日持ち帰りが可能となりました。これは市長の「情報公開から情報提供へ」という施政が反映されたものとして大変評価しています。残念ながら教育委員会の傍聴時に配布される資料については未だ持ち帰りがかなわず、この件についても早期解決を望むものでしたが、さきほどの増田議員さんの質問に対するご答弁で前向きに検討いただける、とのことでしたので今後に期待したいと思います。

さらに情報提供・説明責任のあり方に関して質問します。例えば先日豊中市の学校給食の米飯にビスが混入し、後日同じ業者から納入されているパンにまたもや小石が混じっていた事故がありました。見つかったのは豊中市ですが箕面市も同じ業者から納入しているため、タイミング次第では箕面の学校の出来事になっていた可能性があります。しかしこの件については残念ながら保護者・市民へは説明がなされませんでした。これは「寝た子をおこすな」「市民からの問い合わせがなければ放っておこう」と受け取れます。おそらく保護者の大半は箕面市の学校給食がこの豊中市の業者と同じであることに気づいていなかったのでは、と推測されます。現に何人かの保護者の方にこの件を説明するとたいへん驚いておられました。本当に保護者・市民と向き合い問題解決をはかっていこうとするならば、やはり何か問題が発生したときには速やかに情報提供・説明責任をはたし、丁寧に接していくことが大事ではないかと思います。信頼関係はそういうところから築かれるものではないでしょうか。

なお、兵庫県の高砂市においては議会の審議用に各議員が資料提供を求めた場合、全議員に同じ資料を配布して議論の活性化に努めています。委員会では委員が同じ条件で徹底討論するとのことです。まだ実施に及んでいる自治体は僅かのようですが、是非、箕面市も前向きに検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

さきほど、たまたま教育委員会の例をあげましたが、ごみの有料化にせよ、重要な政策決定や市民の理解を必要とする事業などについて、市民への説明・対話が少なかったように思います。市民に何かの協力を求める時や市民意向を問いたい場合は、情報提供や対話市民の声の聞き方など、以前に比べるとかなり前進したと思いますが、しかしさらに工夫が必要ではないかと思います。

市民意見の吸い上げ方、活かし方について質問します。

箕面プラン2010の第3期実施計画において、「市民意向の把握」として市民満足度調査とパブリックコメントの結果から「政策の方向性を設定」した旨の内容が記されています。市民部の市民相談室では市民からの市政に対する陳情・要望・意見などの総合窓口として各種団体からの要望等の受付や市政モニター制度などの公聴業務をおこなっています。これらの窓口に届けられた声は各関係部局と調整をはかりながら調整されています。2005年度では行政相談は699件、このうち市政関連の相談は535件です。これらの声から「よくある質問」として市のホームページで取上げられているとのことです。ただ残念なことに、市民満足度調査では、インターネットを利用している市民は52.9%と約半数で、そのうち市のサイトの閲覧度は「ほとんど見たことが無い」「全く見たことが無い」を併せると75%に及び、大半の市民が市のHPを利用していないことになっています。

また市民満足度調査の自由記述意見欄には674件もの声が寄せられています。これらの声やアンケート結果は市の報告書にまとめ、市の活動に活用すること、インターネットで公表することがアンケート用紙に明記されていますが、インターネットを利用している市民が大変少ないという現状もあり、利用していない市民向けにどのような工夫がおこなわれているでしょうか。せっかくの良い取り組みなのですから、市民の労力がどのように活かされているのかをしっかりと示すべきだと思います。目的や効果が明確になれば、協力する市民の側の意気込みや行政との関わりも変わってくるのではないでしょうか。広報誌上での掲載以外に、来庁者へ分かるような掲示・展示などは検討されているのでしょうか?また、市民が各課へ直接訪れて要望・陳情等をおこなった場合の内容はどのように把握され、かつ公表されているのでしょうか?市民から出た声や行政の対応について、他の市民も共有していくことが望ましいと思いますが、いかがでしょうか?

次にパブリックコメントについて質問いたします。

この制度についてガイドラインを指針として策定されたことは評価したいと思います。しかし、まだまだこの制度は市民の認知度が十分ではなく、また制度自体は知っていてもコメントするのが難しい、との声をよく聞きます。また、市民のなかには文章でおもいを託すことが苦手な人もいますし、また「障害」のある市民にはコメントのしようがない場合もあります。施策に活かせるように市民の意見を求めるものですから、より多くの貴重な意見を得られるように行政も工夫が必要であると思います。

  1. パブリックコメントで何が聞きたいかが市民に明確に伝わること。この素案について意見を求める、と言われても膨大な資料を読み込むところから始めなければならず、専門家でなければ取り組めないなという思いにさせます。資料の提供は必要ですが、資料を読み解くアドバイスがなければ答えようがありません。
  2. 分かりやすい表現や表記
  3. 市民向け説明会の実施
  4. パブリックコメントを求めていることが市内のどこへ行ってもわかるような積極的な広報。
  5. パブリックコメントの周知をはかる、などについて見解をお願いします。

次に、行政が市民のところへ出かけて直接対話でおこなわれる「出前説明会」についてですが、せっかくの良い制度なのに、利用がほとんどないことについてどのようにお考えでしょうか?この制度の認知度を上げるためにどのように努力されていますか?この制度の目的などの説明がインターネット上ではなされていないのも残念です。10人以上のグループというハードルも少し高いように思います。各種サークルや福祉事業所、団体などにも積極的にPRしてはいかがでしょうか。市内の全施設やコミセンにリーフレットかチラシを設置したり、自治会経由で案内するのも方法ではないでしょうか。

ちなみに高槻市では小学校やPTAにも案内リーフを配り、対象市民は幅広く、事業の広報・宣伝に努めておられます。その成果でしょうか、利用者は今年度2月までで、約2万5千人、実施回数は1,000回以上とのことです。

広報のありかたについてですが、これまでも述べてきましたように

  1. 内容は分かりやすく
  2. どこでも目に付く方法

で、繰り返し行なうことを心がけていただきたいと思います。媒体や設置・配布場所、掲載方法など、丁寧にしつこいくらいにお願いしたいと思います。

さらに、市の事業に関する市民提案制度についての質問です。

今各地の自治体で、市民協働のまちづくりを推進する手法を具体化するために、市民提案制度が検討・実施されています。これは市民がまちづくりに対する政策や事業を直接提案することで、市民活動が活性化され、NPOなどの市民団体があらたな公共の担い手として成長し、行政と協働で企画立案を行なうなかでまちづくりが発展していくものとして期待できる要素があります。この制度についての市の見解はいかがでしょうか?

2点目に庁内における情報の共有化と有機的活用についてお訊ねします。

各部署でとりくんでいる事業で、他部署へ拡大可能なものについて、情報の共有化と活用がなされているでしょうか。たとえば今年度の新規事業でフィフティ・フィフティ事業というものがあります。これは市内公立の小中学校で水光熱費の削減に取り組み、削減額の半額を学校へ還元しよういう環境教育の一環です。今年度は小中併せて8校に4万6千円〜最高額48万5千円が来年度に配分されることになりました。同様の額が節減されたこようになります。職員の方々をはじめ、色々とご苦労はあったと思いますが、日々の水光熱費を節約すると地球環境によいだけでなく物質的にも効果が得られることを身をもって学んだことと思います。残念ながら、保護者にこの報告がなされていないと聞き、残念に思います。また、環境教育と経済効果が得られるこのような事業を他部署にも広げるべきではないでしょうか?効果的な事業はマーケティング手法を用いてアイテムを増やし拡大すべきかと思いますが、いかがでしょうか。

同様に失敗した例も共有化されているでしょうか?失敗は成功の母であるため、同じ間違いを繰り返さないためにも、全庁が共有すべきであると考えます。

(1) 最後に自治基本条例制定の可能性について質問します。

市民元気クラブは本年度の会派行政視察のひとつに大和市を訪問し、自治基本条例について学んできました。自治基本条例は「自治体の憲法」ともいわれるもので、「地方自治の本旨」といわれる住民自治・団体自治を貫く上での自治の原理を自治立法として制定するものです。大和市では3年がかりで公募市民を中心に市民・議員・市職員と195回にも及ぶ会合で練り上げた条例素案が議会で修正され、課題を残したものの、三者協働の意義や問題提起は得るものが大きいと思います。箕面市には他市に誇る市民参加条例がありますが、また位置づけがことなるため、同条例の制定を望むものです。やはり条例制定に至るまでには丁寧な議論の積み重ねを必要とするため、今から準備を始めたとしても数年の期間を要します。自治基本条例制定について庁内で議論・検討はなされているのでしょうか。


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