2007年6月議会 一般質問

■一般質問

市民元気クラブ 中西とも子

◎シングルマザーの支援策について

2項目にわたり一般質問をさせていただきます。まず1項目目は、「箕面駅周辺の整備・検討について」質問いたします。

箕面駅の周辺整備について、本年4月に整備計画の素案が示されました。箕面駅周辺整備方針検討懇話会および同ワークショップなどで検討が重ねられてきたことはすでに周知のとおりです。さる5月28日の駅前周辺整備懇話会ではパブリックコメントとして寄せられた市民意見が26件、137項目にわたり、それに関する市の見解も合わせて報告されました。この整備事業費はおよそ7億〜8億円といわれておりまして、箕面市の財政状況を考えると決して少なくはない支出であると思います。今後のまちづくりに活かすことができる、そして十分な市民合意が得られる事業とするために、パブリックコメントで検討課題にあがった諸問題に対し見通しや市の姿勢について質問いたします。

まず始めに、今回パブリックコメント以外に説明会の時などに口頭で意見を寄せた市民の声も、「パブリックコメント」として集約されたとのことです。文章にするのは大儀だが、意見したいという市民の方々が多いので、このことは大変評価したいと思います。今後、市のパブリックコメントについて、より多くの市民の声を収集する手段として、全庁的に取り入れていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。また、説明会の実施や口頭による意見提案方式など、事前に市民に対して告知されていたら、さらにより多くの市民がこの事業計画に参画できたと思われます。今後は市民参加に向けた積極的PRを是非お願いいたします。

またパブリックコメントの内容やそれに対する市の回答は、6月11日からHPにアップされていますが、HPを見ない市民に対してもしっかり告知をお願いいたします。コメントを寄せた市民も、今回は及ばなかった市民も、いつでもどこでも地域の取りくみや市の事業の進捗について情報共有できるよう、市は努力していただきたいと思います。施設の片隅にそっと置いてあるだけ、ではなく市民の方々の眼にとまる工夫をよろしくお願いいたします。

さて、パブリックコメントの中身についてですが、さまざまな角度からの意見が寄せられました。このたくさんの声をテーマ別に分類し、とてもわかりやすくまとめていただいております。

しかし市民の方々からは「市民の声は聞いておくが、聞きっぱなしで最初から結論ありきではないのか」との辛口のご指摘をいただくことがしばしばあります。そうではないことを示していくためにもこのたび検討課題に上がった件について、今後これをどのような組織でどのような手順で検討していくのか。また、検討課題があまりにも多く、これらの課題に真摯に取り組むためには当初のスケジュール変更も余儀なくされるのではないでしょうか。市の方針をお伺いいたします。

では、主にパブリックコメントから検討課題にあがったものについて、次の質問をいたします。

「箕面市交通バリアフリー構想」に基づき整備される方針ですが、まちづくりの細部にわたり当事者の声が反映される仕組みが必要ではないでしょうか。高齢者やしょうがい者市民の声をどのように吸収し、まちづくりに反映させていくのでしょうか。素案検討にいたるワークショップや懇話会のメンバーにも含まれていませんでしたし、今後の計画の検討・推進を机上のものとしないためにも、当事者の声を反映させるよう具体策を検討していただけないでしょうか。

「駅前広場」についての意見のなかで、サンプラザ1号館の東北角屋根に掲げられている彩度の高い看板に関する複数の提言がありました。建物との調和や景観を考慮した掲示物のありかたなどについてのものです。市のコメントは「ご意見を、みのおサンプラザ1号館運営管理委員会に伝えます。」とか「箕面市都市景観条例上、届出の必要はない」「相談があればアドバイスする」と傍観者的な立場のものになっていました。サンプラザの維持管理は箕面都市開発Mがあたっているわけですし、分社化した箕面わいわい(株)も駅前周辺のまちづくりに関わっているのですから、こういう時こそまちづくり会社として力を発揮していただくように市からも要請していただきたいと思います。景観と周囲との調和・統一感はとても重要ですし、今後の整備を進めるにあたって、専門的な知識や美意識をもって判断できるスタッフがいないというのであれば問題です。また例えばシンボルロードから突き当たったところの看板など、駅前周辺の整備を進めるうえで、景観を損なうものについての検討はどのようになっているのでしょうか。

また駅前商店街の活性化については、やはり根本は魅力ある商店、消費者のニーズに応える店舗形成、みのおの山並み景観と一体となった統一感のある街づくりであると思いますが、地元商店主の方々の今後の計画性について、たとえば、TMOへの出資等は具体的にどのようになっているのでしょうか。また商店主・市民が協働でまちづくりを担い、形にしていくためには、まちづくり会社の今後のコーディネイト力にかかっているといっても過言ではありません。駅前周辺の整備・実施計画のスケジュールに合わせ、ソフト面での構築も並行して推し進めるべきであると考えますがその見通しはいかがでしょうか。

なお箕面駅前周辺の活性化は東部や西部の市民の動向にも大きくかかわります。千里中央の駅前再開発が進んでいますが、現状の東西交通では、東部在住の市民はますます箕面駅ではなく、千里中央への動線が主体となっていきます。東部の市民の足を箕面駅前に向けることは検討課題にあがったことがあるのでしょうか?これからの箕面のまちづくり総体のなかで、東西の公共交通のありかたや高齢化する市民の生活スタイル、環境負荷を考えるなかでマイカーでの移動から自転車利用へのシフトなど、これからの箕面市が目指すべきまちのデザインと暮らす人々の自律したまちづくりへの参加のあり方などと箕面駅周辺の整備をどのように位置づけていこうとしているのでしょうか。

さらに、予算に関する意見が多かったのですが、素案をまとめるにあたり、予算を度外視した検討が重ねられてきたようですが、やはり投資した金額と成果物は相関関係にあるはずです。およそ7億円〜8億円といわれている試算についてもその内訳もわからず、評価しかねる現状となっていることについて、説明をお願いします。

と同時に、費用対効果については、いかに検討されているのでしょうか。最小限の費用で最大限の効果を挙げるのが市の責務です。今後の実施設計にむけて取捨選択と工夫が求められています。そしてこの整備にかけた費用が、将来にわたり無駄にならず、まちの活性化につながり、市民の生活や活動の拠点となり、いきいきと暮らせるまちづくりに活かせるものでなければ意味がありません。

去る6月2日、舞鶴で開催された第21回自治体学会プレフォーラムが開催されました。 住民が幸せに暮らすためには、基礎自治体が「どのような地域を目指すのか」によって、また「選択や参加のしくみ」をいかに設定するのかで、大きくまちづくりに影響し、そのような中で自治体職員が果たす役割は極めて重要であるという内容のとても興味深い議論でした。

パネラーの方の発言で「中心市街地の再生は単にお金をかけて「きれいにしただけ」では成功しないということはすでにあちこちで証明済みだ。「地域自治」に向けて「参加型社会」のまちづくりをみんなで取り組むときである」といった話がとても印象的でした。

つづきまして、2項目目の質問に移ります。

◎箕面市民のプライバシー権(自己情報コントロール権)を護るために、市ができること

「箕面市民のプライバシー権(自己情報コントロール権)を護るために、市ができること」について質問いたします。

この間の常任委員会での質疑や昨日の一般質問を聞いていますと、原告住民の住民票コードの削除方法をめぐって、答申で示された「職権消除」という手法が「違法」であるからよろしくない、とか判決主文だけを履行すればよい、とかのご意見もありましたが、私は市民のために行政は何ができるか、何をなすべきなのか、というもっとも原則的でシンプルな立場に立脚して、市民の声にいかに応え、また市民の福利や安全をいかに護るのかという行政本来の立場を貫く箕面市政であってもらいたい、という思いで質問をさせていただきます。

まず始めに、「職権消除」が違法である、という件についてですが、「職権消除」が違法ではなく、答申を支持するという法律家や弁護士が多いという事実もきちんと踏まえるべきであると考えます。日本弁護士連合会会長の談話がそうであり、先日、箕面市民の方々が提出された答申の速やかな実施を求める千数百名におよぶ市民署名の賛同人にも、箕面市に在住する著名な法律家や弁護士の方々が名を連ねておられます。現在、専門家の間で「違法だ」「いやそうではない」と見解が分かれるということは、それだけ市としても解釈の余地があるのだということを示していることになります。総務省にたずねても、立場上から「違法」と言わざるをえないでしょうし、府も残念ながら同様でしょう。今、問われているのは市としての主体的な判断です。また、プライバシー権は憲法でも保障されており、憲法が保障している住民の当然の権利を市が護らないというのであれば、それこそ違憲であり、箕面市個人情報保護条例違反となります。自治体は弱い立場にある市民を守るという立場で法律運用にあたるべきであると考えます。

そこで、市民にとっての住基ネットのメリットとデメリット、箕面市にとっての費用対効果について考察します。

住基ネットによって箕面市民が得ることができる利便性は、民生常任委員会でもあきらかになりましたが、箕面市では市民カードや自動交付機の導入で、住基カードがなくても不便を感じない体制がすでに整っています。住基ネットが稼動して以来、システム構築費及びランニングコストは本年度の予算額を加えて、累計で約6,000万円にものぼります。住基カードの発行累計は約900件で、人口のわずか約0.7%です。また、その他の主な利便性といえば、年金受給者の年1回の現況届けが不要になったことや、住民票の交付が他市で受け取れること、各種国家試験等の申請書類用の住民票提出が不要になったことなど、またインターネットを介した税務申告などの電子申請があると伺いましたが、このEタックスの利用には住基カードを使った公的個人認証の取得が必要であり、利用は現在ごくわずかであるとのことでした。よってとくに箕面市では市民にとって、住基ネットは必要性が高いとは言いがたい状況です。一方、行政事務の効率化については住民の転入・転出・移動に伴う市町村間の通知が電子化され、1通80円の郵券代が合理化されましたが、これもコストにすれば年間80万円に満たない金額であるため、住基ネットのランニングコストを考えると非常に高い買い物といわざるをえないのです。つまり、箕面市民にとっての費用対効果は低いというわけです。これでは地方自治法に明記されている「住民の福祉と効率性」すなわち、住民の福祉の増進に努め、生命と生活の安全を守り「最小の経費で最大の効果をあげるようにしなければならない」にも反していることになります。

なお、デメリットについては、多数の個人情報が特定の国の機関などに集中し、「名寄せ」「データマッチング」により結合される危険性があり、これは監視社会を招く要因にもなります。また本人はこれをコントロールできないという問題があります。自治情報センターから各行政機関へデータが送られるときには光磁気ディスク(MO)なども利用されるでしょうから、データ漏洩の危険性は皆無とは言い切れないばかりか、盗難や紛失事故は想定内ともいえます。MOやCD-Rの場合、数万人・数十万人分の本人確認情報の記録をディスク1枚に収めることが可能であると言われており、いとも簡単に持ち出すことができるのです。これが一旦、インターネット上に流出したら、収束は不可能であるし、絶対そうならないと言い切れない昨今の現状があります。たとえば2002年には福島県岩代町で委託先業者の車から既存住基システムのバックアップデータ、(全町民約9,600人分の)住民票コードを含む個人情報すべてを記録した磁気テープが盗まれるという事件が起きたほか、2003年には北海道帯広市で戸籍データを記録した磁気テープをシステムの管理委託業者が宅配便で輸送中に紛失させる事件もおきています。昨今の北海道斜里町や愛南町、北秋田市など、データ漏洩の事件は増える一方ですし、住基カードを悪用した事件も続発しています。このようなデメリットについて、市町村で防ぐことには限界があるのではないでしょうか。

次に箕面市が市民のプライバシー件についてどういう立場をとってきたか、箕面市における「自己情報コントロール権」をめぐる議論の経過と、その議論をふまえて制定された「個人情報保護条例」についての確認です。

箕面市では個人情報保護条例制定に際し、丁寧な議論を重ねてきた経緯があります。箕面市個人情報保護制度審議会での議論の内容については、民生常任委員会で牧野直子議員がこの件で討論されましたが、今からおよそ20年近く前から市民のプライバシーを守る議論、それも干渉阻害権といわれる「一人で放っておいてもらう権利」「私生活をみだりに公表されない権利」としてではなく、1960年代からの情報化の進展に伴い、「自己に関する情報をコントロールする権利」として再構成されたものを、きちんと捉えて、プライバシーの権利を人権の一つとして認める議論がなされています。この審議会における議論が土台となって箕面市個人情報保護条例が制定されました。

これらの議論の蓄積や箕面市独自の個人情報保護に関する理念は当然のことながら箕面市総意の考え方であるはずです。

今定例会における常任委員会での議論や、昨日の一般質問において、削除の手法「職権消除」が議論の対象となっていたようですが、そもそも箕面市総意の価値観・理念にもとづき判断・決定したのが今回の大阪高裁判決を支持し、受け入れるという政策決定であると理解しています。この間の委員会や本会議における議論のなかで、「自己情報コントロール権は確立されていないので、最高裁に委ねるべき」とのご意見もありましたが、これは自己情報コントロール権について箕面市で丁寧に議論された蓄積を、まったく無視した意見であり、いまさら覆す議論は不毛であると考えます。ましてや、個人情報保護制度の議論から19年が経過し、情報化の進展に伴い、その重要性はますます高まっていると思われますが、この件についての見解を求めるものです。

以上の理由から箕面市が選択した政策決定と、市民の権利を護るための大阪高裁判決をいかに執行するか。

箕面市は判決が確定し、不承不承ながらそれを執行するのではないはずです。箕面市の理念を全うし、市民の権利を護るという市の最大の責務を果たすための積極的な行為であると解釈しています。我々が今一番に考えなければならないことは「市民の権利を護るためにどのような方法があるか」を市民本位の立場に立って検討することであり、その手法に、あたまから「違法の疑いがあるからできない」という議論は本末転倒ではないでしょうか。

自治体はこれまでも法律の趣旨とは異なる法解釈で、住民本位の独自の対応を行ってきました。たとえば、住民票の大量閲覧について他市でもさまざまな工夫を凝らし閲覧を阻止してきた経緯がありますし、箕面市も同様でした。かつて市民課は、住民票の大量閲覧について個人情報保護法が制定される以前から、市民のプライバシーを護ってきました。「市民のために頑張ります!」という職員さんの姿勢は委員会の傍聴市民の間でたいへん話題となり、賞賛をえたことは記憶にあたらしいと思います。住民と直に接する基礎自治体はその責務として住民の安心・安全のために工夫を凝らし対応するのは当然のことであり、これまでも実践してきたことなのです。

ここで住基ネットシステムの矛盾について述べます。

住基法第1条は「市町村」が住民の居住関係を公証し、住民に関する記録を正確・統一的に行うことを目的にしていますが、改正法の住基ネットワークシステムは国の行政機関が住基台帳を他の目的に利用することを認めており、法律の目的と相反する「違背性」をもつとされています。

箕面市の所有物である市のCSに住民票コードを削除したものを記録し、それが府または指定情報処理機関のサーバーに自動的に送信され、さらに府または指定情報処理機関のサーバーの情報を修正するシステムであるとすれば、それは府・指定情報処理機関において住民基本台帳法に適合するようにシステムを改善する必要があるのではないでしょうか。住基法第30条の5第3項では市町村からの通知を受けて都道府県が都道府県のサーバーに記録することを規定しています。つまり府のサーバーに記録する責任を負っているのは大阪府なのです。それなのに、市町村の自治事務であるために所有している市のCSに職権消除コードを記録しただけで、自動的に府・指定情報処理機関のサーバーの情報が修正されるシステムになっているのであれば、それは都道府県の責任を放棄していることであり、そのようなシステムを採用している府に責任があるわけで、このことこそ住基法違反であるとも言えます。

この問題についてもう少し言及すると、住基ネットが導入された「改正住基法」では第36条の2が加えられました。第36条の2とは「市町村長は、住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理に当たっては、住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の漏えい、滅失及びき損の防止その他の住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。」というものです。

この追加規定は、住基ネット導入により、市町村が個人情報の安全確保のために具体的な方策を講じる必要性に迫られたからです。府に通知する本人確認情報は、36条の2の規定により市町村はこの情報が送信先で漏洩、滅失及び毀損しないために防止する責任があります。しかし市が住民の意思を確認することなしに、または住民の意思に反して本人確認情報を府に通知してしまうとその後は、本人確認情報の扱いについては口出しできないばかりか、府や指定情報処理機関に送られて、本人確認情報の提供が認められている300近い事務に利用されることになります。国の行政事務に利用され、住民票コードを使った個人情報データがどんどん蓄積されていきます。また、すでに行政機関等で構築されてきた個人情報データベースがあるため、個人を識別する住民票コードを使って必要な情報を検索し、各種データを結合させることは可能であるといえます。昨今、総務省は住基カードの多目的利用の奨励や政府が住基ネットと連携させた社会保障カードの早期検討を表明するなど住民票コードを利用した事務をどんどん拡大させてきたし、これからもさらに拡大させる方向にあります。これらの業務に携わる人も委託業者を含め、データに触れる人間がどんどん増加して、データ漏洩の危険性も比例することになります。利用が進めば進むほど、いくら罰則を設けたとしてもても個人情報としての価値も高まっていくため、漏洩の危険は増すばかりです。さまざまな個人情報の売買が個人情報保護法成立後も存在し続けているのは周知のところです。

以上の住基ネットの問題性と制度的矛盾があるなかで、住基ネットは自治事務なので市の裁量であるという点について述べます。

委員会でも議論となりましたが、住基ネットは法廷受託事務ではなく自治事務であるのに、市では住民票コードを削除する機能を持ち合わせていません。このたびの答申では、制度的な矛盾ゆえに、合目的的に職権消除の形式で住基ネットを用いて府に通知し、削除した住民票コードの変更通知を送付する、としています。ややこしい方法ですが、このような方法をとらざるを得ない住基ネットのシステムにこそ問題があるわけで、このシステムの矛盾は自治体のせいではありません。

改正地方自治法で自治体と国は対等になりました。地域自主行政団体としての自治体があり、第2条では法令は自治の本旨に基づき、自主的解釈運用が認められています。地方自治体の責務をはたし、地方の特性に応じた事務を遂行するために、法解釈を行えるわけです。国・府は地方自治体に協力しなければならない立場にあります。つまり、府のCSデータから控訴人の住民票コードを消すための協力に応じるべきであるので、「府のデータを消せというのは、隣の家にづかづかと上がりこんで勝手に電気を消す」ことではないのです。

最後に国との係争処理について言及しておきます。

何度も申しますが、住基ネットは「法定受託事務」ではなく、「自治事務」です。地方自治法第11章第1節において、「国等の関与等と関与に関する系(紛)争処理」について定めています。新版『逐条 地方自治法』によると「以前の機関委任事務については国等の一般的・包括的な指揮監督権があり、この中には監視権や取消停止などの命令権等が含まれるものとされてきましたが、地方分権一括法による改正後においては「法定受託事務」も「自治事務」も地方公共団体の事務であり、国は、一般的にこのような広範な権限を有するものではない」とし、そして「地方自治法を根拠として行うことができる」関与は、法定受託事務については「助言または勧告」「資料提出の要求」「是正の指示」「代執行」となっているのに対し、自治事務については「助言または勧告」、「資料の提出の要求」、「是正の要求」に限られています。これは、必要最小限の関与であり、自主性・自立性への配慮とされているのです。

また、おなじく地方自治法では法令等の遵守が定められており、「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。また、市町村長は当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。法令または都道府県条例違反の行為は無効となる」とあります。しかしこれについても民生常任委員会でも申し上げましたが基本法コンメンタールによると、「ただし、国・都道府県と市町村は対等なのであるから、形式的に違反行為であるかどうかを判定すべきではない」と解説しています。

要は、限りなく可能性が低い処罰に対して憂うよりは、「市民のための正義」を貫くことに誇りを感じて実行すべきではないかと思います。

以上、今なすべきことは箕面市が歴史的に培ってきた理念に照らし合わせ、市民の大切な人権であり、自己情報コントロール権を護るための大阪高裁判決執行に向けて知恵を絞ることであり、市の政策として最善の結果を出すことです。その意味において、専門員による検討会が出した報告書は苦肉の策であるかもしれませんが、否定の余地はないものと考えます。

地方分権改革推進委員会の本年5月30日付けの「地方分権推進にあたっての基本的な考え方」のなかで、「目指すべき方向性」として、「国が地方のやることを考え、押し付けるという中央主権型のシステムは、もはや捨て去るべきである」として、分権型社会への転換を提唱しています。また、さらに「地方分権改革の推進は苦難の道程が予想されるが行政運営の失敗の影響は住民に及ぶことを踏まえ(中略)住民・首長・議会が自治の担い手としての意識改革を行い、その下で職員も自らの使命をしっかりと自覚して、それぞれが確固たる意思と責任を持って進んでいかなければならない。この歩みが、国と地方の真の対等協力関係を構築し、総合行政の名にふさわしい住民本位の豊かな行政の実現として結実するのである」というふうに、これまで培われてきた体質を改善するというのは並大抵ではないが、それをしなければ始まらないという内容が記されています。

動き出さなくては何も変わりません。私は最大の行革は我々の意識改革であると考えています。これまで実直に箕面市の行政に取り組み、進めてこられた職員の方々とともにそして議会も自治体改革に向け、勇気ある一歩を踏み出せるようにと願っていますことを最後に申し述べて私の一般質問を終えます。


2007年6月議会報告へ戻る


閉じる

トップページへ戻る