2010年9月議会 一般質問

●一般質問

市民派ネット 中西とも子

◎ 目指すべき市民サービスのあり方について

「目指すべき市民サービスのあり方について」一般質問します。

私は、市民の方々から、しばしば市役所の対応について苦情をいただきます。内容はさまざまですが、各種の窓口での対応に不満を感じている方からのものが多く、「不親切だ」「寄り添ってくれない」「説明するのに疲れる、こんなことなら市役所へ行くんじゃなかった」といった声に集約されます。接遇のまずさだけではなく、本来なら受給できるはずのサービスについて説明がなかった、というものも少なくありません。そのうちの多くは複数の課にまたがっているものが多いようです。

そこで市役所のミッションと方向性についてですが、市役所の役割は「住民の福祉の増進を図る」ことにあります。これは地方自治法第一条の二にうたわれており、市民サービスの提供については、この大原則にもとづくべきであることはいうまでもありません。

また2006年の「公共サービス改革法」、2009年の「公共サービス基本法」などの制定にともない「公共サービス」は国や自治体の業務であることが規定され、委託した場合の責任についても明らかになっています。

「公共サービス基本法」では、「質の高いサービス」、「社会・経済情勢の変化で多様化する国民ニーズへの対応」「選択の機会の確保」、「必要な情報提供」、「苦情に対する迅速な対応と解決」というような5項目を基本において、公共サービスに関する国民の権利が尊重され、国民が健全な生活環境で日常生活や社会生活を営むことができるように」というような基本理念を掲げています。そして第10条では「公共サービスを受ける側の立場に立った」サービスの実施と配慮についてうたっています。

今や市民ニーズに応えるためには「質の高い市民サービス」を追求し、その実現に向けて全庁的課題として取り組まねばなりません。しかし、これを追求すれば、とうぜん人・時間が必要となるのですが、当市のこの間の傾向として、行財政改革という課題のなかで、「業務の効率化」に重点をおいた市政運営に比重がおかれているように思えてなりません。質の高い「窓口サービス」のあり方を考えるならば、単にサービスコストの引き下げが目的化されるべきではないと考えます。政策的に重要な視点であるため、市の見解を問うものです。

また、この一般質問においては、市民サービスの基本でもある「窓口サービス」において、市がどのように課題化し、今後の取り組みに臨もうとしているのか、具体的な事例をもとに質問させていただきます。

さて、市民サービス政策課がまとめた2008年度の「市民の声」には職員の「接遇」に関する件数割合がほとんどの課で高くなっています。「窓口サービス」のあり方については、接遇や専門的な資質にかんする課題をめぐって、市民からの苦情があとを絶ちません。(もっとも、すべての職員がというわけではなく、大いに努力を払っている職員の方々もいらっしゃいますので、誤解のないように申しておきます)

また市のホームページには、たとえば「福祉」に関して、申請の手続きや受けられるサービスについて“担当者から詳しくご説明”とありますが、果たして窓口において十分な説明・アドバイスが行われているのでしょうか?あるいは、市民ニーズに応えられない、あるいは応えられなかった場合には、どのように対処しているのでしょうか?

Aさんは、何年か前までは高額納税者でした。大学教員として国立大学で働いていましたが、病気で働き続けることが困難になってしまい、退職。臓器疾患とパニック障害で、回復が長引きそうになったため、悩んだあげくに辞職を決意されたそうです。しばらくは預貯金で療養生活を送り、少し体調がよいときは自営でお仕事をされていましたが、通常に労働できる健康状態に回復しなかったために経済的に困窮し、援助を市役所に求められました。Aさんが、最初に市役所を訪れた2007年の秋ごろ、市民相談室と健康福祉部に、これまでの経過・病院での治療などすべてを話したうえで、少しでも援助がうけられるような制度がないか、と相談されたのですが、対応した管理職の方から深々と頭を下げられて「申し訳ありませんが何もありません」といわれたそうです。

そのように断言されたため、Aさんは、仕方ないと完全にあきらめていました。1年以上経ってから、Aさんは知人から自立支援制度があることを聞いて、さっそく手続きを行い、2009年5月から利用できることになりました。しかしAさんは自立支援医療が受けられたにもかかわらず、その機会を失っていたのです。また、この市役所の失態で、Aさんはひどく傷つき、社会から嫌われているような感情が強くなるなど、深い苦しみに悩まされました。Aさんが被った損失は計り知れないものであったと思います。

昨年6月末に、Aさんは家族構成が変わったため、国民健康保険の件で窓口相談に行かれました。これが2件目の事例です。そこで、世帯分離の方法を尋ねたところ「一つの家にお住まいの場合、別々に分けることはできません」とはっきり言われたそうです。

住民票の住所が同じであっても、届出をおこなえば世帯分離は可能です。同じ住居で生活していても生計が別の場合は別世帯として扱われますので、この時の窓口対応は理解に苦しみます。この場合も後日、知人からの情報で手続きできることを知り、処理ができたのですが、Aさんにしてみれば、窓口において一度ならず二度も適切な情報提供が得られなかったのですから、さぞ行政に対する不信感が増したのではないかと思います。

今年の8月、Aさんはこの間に受けた不利益について市に「申し立て」を行いました。この「申し立て書」は受理されましたが、部局内で放置されたままでした。すでに数週間も経過していたので所管部署に確認したところ、理由は「書式が整っていなかった」とのことで、「では、そのことをAさんに伝えましたか?」と聞くと「いいえ」「これから処理します」という答えでした。本当に忙しく、またどのように対応してよいのか戸惑っていたのかもしれませんが、やはり、何らかの対応をすぐに行うべきであったでしょうし、当事者にしてみれば、「聞かなければ、ずっと放置していたのではないか」と思えてしまうでしょう。

さて、これで終わらず3件目の事例は今年、ライフプラザにおいて障害者手帳の申請時のことです。Aさんの提出書類の押印が抜けていたため、担当から「また持参してください」と言われました。精神障害者が役所へ行くという行為がどれだけパワーがいることなのか、おそらく福祉関連の職員さんなら、研修などで理解されていると思います。やりとりのあと郵送を認めてもらったそうですが、手帳が交付される時にははがきと引き換えに、再びライプラへ行かねばなりません。行かねばいつまでたっても手帳を手に入れることができず、サービスが受けられないのです。

当事者によりそいながら相談を受ける、という作業は容易ではありません。しかし、相談者にとっては、まさに生きるか死ぬかという切羽詰った方が少なくありません。家族構成や相談にいたる経過など、プライベートな話を一部始終説明したあげくに、空振りであった場合、本当に相談に行くのも嫌になってしまいます。

Aさんはこのほかにも、他の部局との関わりがありましたが、丁寧な説明やアドバイスがあまり得られず、こみあげる怒りや嘆きで体調に影響し、ついには市役所との接触にドクターストップがかかるほどでした。

今、Aさんは社会福祉協議会やパオみのおに相談しながら、さまざまなサービスの申請手続きを進めておられます。前向きに精力的に取りくんでくださっているということで、元気をとりもどしつつありますが、この関連機関への相談を勧めたのは残念ながら行政ではなかったそうです。  

窓口の対応について、担当者にも言い分があるのかもしれませんが、故意であれ、過失であれ、本来市民が受けることのできるサービスの機会を逃したことの責任は重大です。また、人権を守らねばならない市民が受けた精神的苦痛について、重く受け止めていただきたいと思います。

Aさんのケースはほんの一例です。窓口サービスの業務はいかに大切かが、よく分かりますし、窓口サービスの向上は、市政に対する市民の信頼に直結します。

このことは、市民協働のまちづくりを推進する上でも不可欠であるため、真摯に取り組んでいただきたいと切に願います。

次に今後の目指すべき方向性、改善ポイントなど、サービス向上のための具体的取り組みについて質問いたします。

市民ニーズは多様化・高度化しています。 複雑化する法制度、関連業務の増加など、職員の業務内容もいっそう専門化する傾向にあります。各種の制度が複雑・多様になり、届出の手続きが複数課にまたがるケースが多くなってきているため、「行政のプロ」として質の高いサービスが求められていますが、従来型の縦割り行政では市民ニーズに応えることができなくなってきています。各職員のスキルアップだけでなく、各課間、外部の相談機関等との情報共有や連携強化などで複合的な相談体制の構築が必要です。現在、箕面市では子ども部でケース検討会議などの取組みが実行され、成果が上がっています。同様に市民部や福祉部門でもパーソナル・サポートが必要だと思います。

そのために次のような具体的な提案を行いたいと思います。

  1. まずなによりも職員の意識改革が必要です。冒頭で述べた公共サービス基本法の理念に照らして、事業目的・成果を明確にして活動し、資質の向上をはかるという意識の徹底をお願いしたいと思います。そのためには、理事者が率先して意識変革を行う必要があると考えます。

  2. また接遇のレベルアップについては、市民に寄り添い丁寧に分かりやすい説明が行える体制・環境の整備を求めます。対応する職員のスキルの違いで、アタリ・ハズレがあるようでは困ります。庁内全体の質の向上がはかれることが望まれます。

  3. 次に業務連携は、課の枠を超えた横断的な取り組みが必要です。そのためには組織内コミュニケーション力の醸成と連携強化がかかせません。関連部署でどんなサービスを行っているのか、という各所管業務内容の把握ができるスタッフの育成が必要です。また積極的な情報共有が推進できる体制を全庁的に検討すべきではないでしょうか?
  4. さらに効果の測定についてですが、この9月議会では第五次総計の議論のなかで、市民意見の把握にあらたな手法を取り入れることが確認されました。サイレントマジョリティの声を吸い上げるためにも、市民モニターや窓口アンケート(来庁者サービス評価制度)による取り組み効果の評価を行い、課題の抽出とさらなる改革による窓口サービスの進化をはかれるよう検討願います。

  5. さて、肝心なのは市民のためにより良いサービスをおこないたいと考えている職員の労働環境の整備を図ることです。現状では、よいサービスを実行できる体制になっていない部署があるのではないでしょうか。市民と真摯に向き合うことは、パワーと時間を使います。十分に市民と向き合うことができる人員配置などサービスの実施に従事する職員の適正な労働条件の確保、環境整備を希望します。

  6. 最後に、人事評価制度の見直しについてです。やはり仕事に対する評価があってこそヤル気が出てきます。他部署や関係機関との横断的な連携業務に対する評価を積極的に取り入れるよう検討すべきではないかと思いますがいかがでしょうか?

以上、6点の提案について市の見解を求めます。

市役所は市民にとってはとても敷居が高いところです。相談に行くにもパワーがいりますし、またその相談に応える職員にとっても真摯に向き合えば向き合うほど、労力がかかります。個々の市民の状況に応じた対応が行えるための抜本的な庁内体制を構築していただけますよう要望し真摯なご答弁を期待しまして、質問を終わります。

以上


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