2014年12月議会 討論

◎請願第4号 「重度障がい者の医療費助成及び公共交通機関の
運賃割引等の精神障がい者への適用に関する請願」の件

請願第4号「重度障がい者の医療費助成及び公共交通機関の運賃割引等の精神障がい者への適用に関する請願」について賛成討論いたします。

この請願は精神障がい者の家族会3団体から提出されたものです。

1993年に障害者基本法が制定され、精神障がい者に対して従来は主に医療の対象でしかなかったものが、障がい者福祉の対象として位置付けられました。また、2005年には障害者自立支援法が制定されたものの、依然として精神障がい者と、身体障がい者、知的障がい者との格差は解消されないままになっています。

このような状況のなかで、請願内容は、1点目として、重度障害者の医療費助成について、精神障がい者にも身体障害者、知的障がい者と同じように、全診療科の入院費、通院費の助成が適用されるよう、実現に向けた働きかけを関係機関、団体、および国・府に対し強力に要請することを求めています。これは、精神障がい者にも障がい者医療証を発行してほしい、というものです。

2点目に、同じく公共交通機関の運賃割引について、早期実現に向けて交通運輸事業者、所管する関係行政機関および民間・公共の諸団体のほか、国・府に対する働きかけの強化を求めるというものです。具体的には、JR,私鉄、大阪市営地下鉄、バス、タクシー、国内の航空運賃、有料道路通行料、フェリー運賃などの運賃割引です。現在、精神障がい者、知的障がい者に対しては1割〜5割の割引が実施されています。以上がこのたびの請願内容です。

箕面市ではオレンジゆずるバスが割引されているものの、阪急バスや阪急電鉄への働きかけや、あらゆる関係諸団体から要望活動をおこなっていただくように要請するなど、ありとあらゆる活動が必至であると思われます。

精神障がい者は、病気という位置づけで、福祉的視点が注がれてこなかったという背景があります。障がい者自立支援法の制定で、3障がいが平等に対象となったはずなのに、法を順守し、市民の福利を守るべき国や府、箕面市が格差解消についてこれまで実効性のある対策がとれなかったのは、大変遺憾に思います。と同時に私たち議会も、何ら有効な手立てを講じてこなかったことを、おおいに反省すべきであると考えています。

委員会では、請願者の方から、さまざまに切実な声をお聴きしました。
内閣府の資料によると、身体障害者が356万人、知的障がい者は54万7千人であり、精神障がい者は320万人で、これは1000人に25人という数値であるという説明でした。134,000人の人口である箕面市では、3350人の方がいらしゃるというふうに推計できますが、実際には手帳を申請しない人もいるので、この人数はもっと多くなるのではないかと思われます。私は、これらの方々の想いとして請願があるのだと考えています。

さて、精神障がい者の生活状況については、一般的にはあまり詳しく知られていません。

請願者の委員会における説明のなかで、「精神障がい者は自分の体を自分で管理できないために、歯の治療や、薬の副作用による糖尿病が大きな問題である」ということを知りました。

また就労についてですが、精神障がい者を理解するための集いなどで知りえたことですが、対人関係がうまくいかず、コミュニケーションがとれずに、せっかく就職した仕事も辞めざるをえなくなるケースがあります。それぞれに得て不得手がありますし、短時間しか働けない場合や、毎日働くのが難しい場合もあります。調子がよいときと、そうでないときの波があるため、仕事が続かない場合もあります。そういうことを理解してくれる人がいれば良いのですが、怠けているように誤解されることもあり、そういうことに傷ついたり、病気が悪化したりして、さらに就労が難しくなったりします。

なるべく市内で受け入れ可能な企業があればよいのですが、なかなかそうもいかず、就労支援B型事業では、委員会でも請願者が述べておられましたが、工賃もわずかであり、一般就労にもつながず、暮らしていけないという状況です。退院後社会復帰については、また大きな課題があります。

また通院にも家族の同行が必要な場合があります。そうなると交通費の補助は本当に切実です。

精神障がい者とそのご家族の将来に対する不安、とくに親が高齢化しているために、はかりしれない苦悩があるという問題もあります。精神保健福祉の相談支援体制の充実や家族支援策も必要ですし、他にもさまざまな支援を講じなくてはなりません。

今回の請願では、冒頭の2点についての要請をいただきました。箕面市議会と市は、これをしっかり受け止めて、実現に向けて最善の努力をしなければなりません。

委員会における理事者のご答弁では、大阪府にも期待できそうな気配であるとのことでした。

重度障害者の医療費助成については、北海道、愛知、兵庫など17道県および7つの政令市で精神障がい者に適用されているようです。もしも経済的に苦しいために適切な医療を受けないということになれば、重篤になり、かえって医療費負担がかさんでしまう結果となります。

最後になりますが、大阪府が適切な施策を実施するまでのあいだ、箕面市単独の施策として医療費助成を行うべきだと考えます。このことを強く要望いたしまして、この請願の賛成討論といたします。

◎請願第5号 「『慰安婦』問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」に関する請願の件

 請願第5号「『慰安婦』問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」に関する請願、について、賛成の立場で討論いたします。

この請願の元となる意見書は、2009年6月に箕面市議会で可決されました。先日、12月1日の議会運営委員会における質疑では1票差であったというような説明がありましたが、正しくは17:7であり、その内訳は、賛成者は市民派ネット4名、共産党4名、民主党4名、公明党3名と無所属2名であり、一方、反対は自民党市民クラブ6名と無所属1名でした。

このとき、2名が賛成討論を、1名が反対討論をおこないましたが、3名の討論において、「吉田証言」に関することについては一言も触れられておりません。

さて、この意見書の趣旨は、1993年8月、当時の河野洋平官房長官が「お詫びと反省の気持ちを申し上げる。そのような気持ちを我が国としてどのように表すかについては、今後とも真剣に検討すべきもの」という、いわゆる「河野談話」から、一向に事態が進んでいないため、「慰安婦」問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努め、誠実な対応をされるよう国に要望する、というものです。この意見書においても「吉田証言」には全く言及していません。

さて、この請願第5号の請願者はこの意見書を「心強く、誇りに思う」ものであり、この間、朝日新聞が吉田証言を取り消した部分があったことを利用して河野談話攻撃が繰り広げられていることを心配し、意見書を堅持してほしい、と考えて請願をおこなった、と説明されています。

請願の趣旨説明においては、「河野談話の作成過程では、吉田証言を直接根拠として強制性を認定したものではないこと、当時、吉田氏に対しヒアリングをしたが、証言には採用しなかった」という当時の副官房長官であった石原信夫氏が述べたことのほか、1991年に元「慰安婦」の女性が名乗りをあげて、日本政府を提訴したことからこの問題が拡がり、日本政府が調査に乗り出したこと、公文書や資料を精査し、元「慰安婦」の16人からの聞き取りが行われ、性奴隷の実態が明らかになった経緯や、裁判による事実認定など、丁寧な説明が行われました。

議会運営委員会の質疑では、朝日新聞が吉田証言を取り下げたのだから根拠がなくなった、とか、「河野談話が正しいか、正しくないかは研究途中である」といった意見を自民党市民クラブ会派の方々が述べられました。

しかし、河野談話の根拠となったバタビア裁判や、軍の関与を示す陸軍省が作成した慰安所設置の根拠法や営外施設規定などのほか、慰安所での強制性を示す数多の資料が国立公文書館や防衛省に収められています。委員会ではこれらの資料について具体的に説明を行い、その写しが私の手元にあるので、いつでもご覧くださいと申しましたが、残念ながら5号議案に反対された委員のみなさまや、請願第3号の紹介議員のみなさまからは、問合せすら頂けませんでした。きちんとした証拠を提示しても「有力な物的証拠が見つかっていない」などといわれるのは、まったく心外であり、事実を無視しています。ここは議会の場ですから、論理的に議論していただきたいものです。なお、議運での質疑では、「〜ような感じがする」とか「確たる信念をもって正しい、間違っているということはできない」といった曖昧なご意見が多々ありました。

繰り返しますが、証拠は山ほどあるのです。そして一方で、「証拠がない」と主張していらっしゃる議員からは、元「慰安婦」の方々の証言を否定できる根拠については何ひとつ示されておりません。

さらに驚くことに、「こういう問題は政府にまかせておいたらいい」というように、人権意識の低さがあらわになりました。「慰安婦」問題は単なる外交問題ではありません。日本の侵略統治下で、植民地女性が受けた差別的扱いについて、人としてそして女性としての尊厳を守る立場で、私たち一人ひとりがどのように向き合うのか、という姿勢がとわれているのです。国がやることで、地方がわざわざ取り上げる課題ではない、といった考え方は、何とか国を動かそうという真摯に向き合う行為を否定しています。それは多民族との共生を築きあげようとしている箕面市の理念とも相反するものであると考えます。

当事者であるハルモニたちは、戦後70年を迎えようとしているため、かなりのご高齢です。人としての尊厳を取り戻す闘いを、自らの命を刻みながら続けてこられ、すでに志半ばで永眠された方もいらっしゃるという状況なのです。もう本当に時間がないのです。1日も早い解決のために、地方議会はさらに国へ要望していかねばなりません。

大変、嘆かわしいことですが、ヘイトスピーチやヘイトデモで問題になっている団体が、声高に「慰安婦」問題がねつ造である、と叫びながら、同時に在日コリアンに対する差別を助長させる行動を繰り返し行っています。そのような情勢のなかで、箕面市が可決した意見書は大変意味があるものです。

最後になりましたが、第5号の請願において「堅持する」とあるのは、さきの意見書の存続を求めたものであるため、「継続する、活かす」というのと全く同じ意味であります。委員会では、このことを誤解されたご意見がありましたので、この場であらためて申し上げ、良識ある議員のみなさまの賛成を求めて、賛成討論といたします。

◎第120号議案「箕面市一般職の職員の給与に関する条例改正の件」

通告外ですが、第120号議案「箕面市一般職の職員の給与に関する条例改正の件」に、反対の立場で討論に参加させていただきます。
以下、簡潔にその理由をのべます。

この条例改正は人事院勧告において、月例給とボーナスの引き上げや俸給月額、諸手当などの給与制度の見直しが行われ、その勧告を受けて、一般職職員の給料月額と期末手当ほかの諸手当の支給率を改定し、国の指定職の給与改定に準じて、特別職の給料月額、及び期末手当を改定するものです。また市議会議員の期末手当の支給率改定も同時におこなわれようとしています。

なお、本年においては、一般職の給与月額を平均0.3%引き上げ、また期末勤勉手当(いわゆるボーナス)については支給月数を0.15月分引き上げて、現行の3.95月を4.1月に改定するものです。

さらに、来年度からは給料月額を平均2%引き下げることになるので、改正前との比較においては平均1.7%の引き下げになり、期末勤勉手当は引き続き、4.1月となっています。

さて、職員の給与については経過措置も含めて、職員組合との合意済ということで、一定尊重したいと思います。

私がこの議案に賛成しかねるのは、議員報酬の部分についてです。議員の報酬について改正案では、月額報酬は現行のままで下がらず、期末勤勉手当が0.15月引き上げられるとなっています。これは、来年度も同様で、支給率は年4.05月となります。

さて、本来特別職の増額報酬改定は、報酬審議会に諮り、丁寧に議論されるべき案件であると考えます。現にそのようにしている自治体はたくさんあります。今日のように、一部の大企業においては業績が良化し、昨年度よりもボーナスがアップしたところも見られますが、中小・零細企業においては良い景況感がえられない現状にあります。

今回の報酬改定は、とくに議員については報酬のアップにつながるものでありますが、慎重な審査や議論が行われず、またそのような中で市民にご理解いただくことも難しいものであると考えるため、第120号議案には反対といたします。

◎第121号議案箕面市一般会計補正予算(第7号)の件

通告外ですが、第121号議案箕面市一般会計補正予算(第7号)の件に、反対の立場で討論に参加させていただきます。

さきほどの第120号議案で述べましたとおり、この補正予算は人事院勧告を受けて、一般職職員の給料月額と期末手当ほかの諸手当の支給率が改定され、また、それに伴い、特別職職員の給与や期末勤勉手当、および市議会議員の期末勤勉手当の支給率が改定されたため、一般会計補正9千46万7千円を追加するものです。

このうち、市議会議員の期末勤勉手当のアップ分は、議長が12万1824円、副議長が11万1672円、一般の議員は10万3212円となっており、議員の期末手当報酬は全体で240万1千円の増額補正となっています。

第120号議案でも討論しましたとおり、議員報酬の増額改定については丁寧な審査がなされておりません。かつ、市民のみなさまに対しては財政難ということで、さまざまな負担をお願いしているなかで、このような形での議員の報酬アップは市民のご理解を得られないのではないかと考えます。
よって、当議案につきましても反対を表明し、簡単ではありますが討論といたします。

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